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 町長コラム

●平成24年広報おおえ 3月号より

 8月12日に大江町に210人のお相撲さんがやってくる。2月20日、日本相撲協会と水郷大江舟唄場所実行委員会とで「契約」が取り交わされ、本決まりとなった。「本物」を、テレビではなく自分の目で観戦できれば、目に焼き付いて一生の思い出になるかもしれない。身長・体重共に圧倒されるような「巨人」で、私の3倍ほど大きい佐渡ヶ嶽親方さん。目が優しく言葉に思いやりのある素晴らしい親方だ。お会いするたび横綱を思わせる「品格」を感じる。「私がファンクラブの会長になる」と心に秘めて1年間お付き合いをさせていただいた。大雪で除雪機の「油」がバンバン減ると友人が嘆いている。人間の何十倍も動いて稼ぐわけだから、その分「いっぱい食べるのだ」と思う。食べて動く、簡単なようで難しい。「食べた分だけ、体を動かさないと病気になるよ」と親方はおっしゃる。「相撲道の健康管理」には、学ぶことが実に多い。日本の伝統文化「大相撲」。今年のお盆が楽しみだ。

●平成24年広報おおえ 2月号より

 受験生が問題に取り組む姿がテレビに流れる季節となった。試験に臨むのは、本人一人だが、周りの皆が応援しているのは間違いない。大学4年の時、受験を終えた高校生の後輩が訪ねてくるという。寮の部屋は二人部屋。相部屋の友人が、ストーブにいつもよりいっぱい「配給石炭」を入れて待っていた。
「どうだった、うまくいったかい」
「多分大丈夫だと思います」
「よかった、よかった…」
高校のこと、故郷のこと、学生生活のこと、札幌の寒い冬のこと、話は弾んだ。帰り時間が近づいたころ、黙って話を聞いていた友人が言った。「自分で判断してはいけない。合格か不合格かは、他人様が決めることだ」今は大学の先生になったその友人は、「自己評価と外部評価、正しい評価は、個人と社会にとって永遠の課題だ」とよく言っていた。「自分見て、他人見て、右見て、左見て、焦らずゆっくり、自分を信じて」。負けるな、大江の受験生。

●平成23年広報おおえ 12月号より

 終戦の昭和20年、「本土を離れた日本」には、700万人ほどの日本人がいた。土も凍る満州に、高松と柴橋から出向いた方々は、「高柴開拓団」として大地を開いて食料を作り、子どもの教育のために学校を造ったという。今は「外国」となった場所で生まれたもっとも若い人でも、66歳になった。「外国の日本」を語り継げる生き証人は、40年もたたないうちにこの世にいないかもしれない。「戦争を知らない大人たち」は100年後、「平和」を自分の言葉でどう語るのであろうか。両手に荷物、背中には子どもと背負えるだけの生活用品、敗戦で日本本土に700万人が帰ってきた。物も食べ物もない「どん底の日本」なのに、引き揚げてきた日本人を見事に受け入れ支えたのは、「日本人の友達力」だ。福島の原発事故では、故郷に帰れない日本人がいる。「ふるさとに帰りたい、あー、だけど、やっぱり帰れない」。向こう三軒両隣、支えあう命の歴史。2012年、日本、頑張れ。

●平成23年広報おおえ 11月号より

 体育館に展示された多くの作品、ふれあい会館での各種発表、「すごいなー」と感動し、大江町の底力を実感した。が、ふれあい会館のステージの上から「赤い大きな『文化祭』の文字が私をにらんでいる」とも思った。聞いたり見たりは一瞬だ。困難・苦労を乗り越えた今日の作品・発表には、長い長い努力があった…、「分かるかお前…」。されど、自分には芸がない。家に帰ると、みじめさがじわじわ迫ってきた。布団に入った。「来年は卵から育てた生きている『にわとり』を文化祭の傑作として展示していただけるかどうか…」。想いをめぐらしながら、そのうち眠りに落ちた。「見聞きは一瞬、作品・表現は一生」、一分一秒一時間の「点」をつないで「線」とするような芸術文化には、学ぶべきことが多い。点なくば線なしだ、線上の点をどう読むか…。深くて広く、「悩みの多い」芸術の秋ではある。

動く世に 芸に打ち込む ひと時は 見聞きする人 思いて楽し

●平成23年広報おおえ 10月号より

 10月2日、七軒東小学校で防災訓練がおこなわれた。気圧配置が冬型で寒い中、多くの地区民の参加に心が動いた。県の防災ヘリコプターがやってきた。校庭上空に見事に一点でとどまっている。ヘリを造るのに何から学んだのか、空中を自由自在に飛んだりとどまったり、まるで「ハチドリ」だ。交通手段を失った地点に直行できる優れもの、人間の「発明発見」が、こんなにすばらしいとは…。ヘリを仰ぎ見ながら、胸が熱くなった。ノーベル賞のノーベルさんは、ダイナマイトの発明者だという。土を動かし、岩を砕くダイナマイトは「人間社会」に役に立ったが、戦争にも使われた。「発明発見」を何に使うのか、ノーベルさんは悩んだであろうか。「物」と「人」の関係、「筋肉」と「頭」の使い方、「想定外」をなくすために、「一時空でとどまったヘリのように、立ち止まって考えてみよう」と思った瞬間、ヘリは空から消えた。

●平成23年広報おおえ 9月号より

 突然の大地震による国難の中、新しい総理大臣が選ばれた。ご自身をドジョウに例えた演説は見事であった。「どんじょしぇめ」で遊んだ子どものころを思い出した。総理も「泥」の中からドジョウをすくったことがあるのだろうか。例によって、またかとも思うような、早速さまざまな「ご批評」が報道された。「一国の総理大臣がドジョウうんぬんはいかがなものか…」、元総理大臣の娘さんのコメントがテレビで流れた。それを一緒に見ていた鯉と金魚を何十年も商売してきた友人は、硬い表情で「ドジョウも、金魚も、錦鯉も沼の泥底があるから育つ。泥に含まれる栄養が必要なんだ。1に「泥」、2に餌、3に鯉・金魚、ご先祖様にも泥にも咲く花・蓮の花だ」と言った。やわらかな「土」は命の源だ、「泥」あなどってはいけない。ドジョウは煮えたぎる柳川鍋から「人間」をどう見ているだろうか。 

●平成23年広報おおえ 8月号より

 ミンミンゼミが朝からずいぶんと頑張っている。蝉は幼虫として土の中の生活が長く、空気を胸いっぱい吸える地上での命が短いという。文字通り「明暗」分かれる「土中と空中」の一生を、甲高い声に映しているのであろうか。柳川温泉の新しい井戸が掘られている。6月20日に掘り始め、7月28日には570㍍の深さまで掘り進んだ。800㍍までもう少し、暗いところから明るい地上まで、一気にお湯が噴出することを期待したい。3月11日の地震が、岩盤で守られた頑丈な温泉を止めてしまった。全国のニュースだけでなく、160の諸外国に向けたNHKワールドのテレビ取材を受けた柳川温泉、放送されれば国際的だ。ピンチをチャンスに変えられるよう多くの方々に力をお借りしたい。温泉が出るまで、薪でお湯を沸かす「五右衛門風呂」など、新しい案が届いていることが、明るいニュースではある。今まで真っ暗い「土中」深くひっそりと、お湯は確かにあった。新しい温泉もどうか「明るいところに、みんなと一緒に、さらさらと流れるように、お湯さん、お湯さん、出てきてください、お早めに」

●平成23年広報おおえ 7月号より

 日本の旗、「日の丸」。真っ白い四角、真っ赤な丸、単純明快、飾り気なし、素敵な旗だ。「国民の祝日に、玄関等に掲げることがあまり見られなくなった」と話す友人。「国歌と国旗は大切なものだ」と、友人は少々怒ったように「国と国民」の関係を語りつづけた。JAさがえ西村山から、「支援米」をいただいた。亘理町に届けることとなった。海沿いの漁業関係者の被害が大きいと聞いた。港に近い広場で、80人ほどの漁師が、明日を信じるかのような明るさで迎えてくれた。肉親を失い、家屋を無くしている方もおられるのに…。「お米と梅干しを持ってきました。山形の農家の方々が心を込めて作ったお米です。真っ白いご飯に、真っ赤な梅干しをのっけて召し上がってください。日の丸の旗を思いながら、日本という国は、困っている人を見捨てるようなことはしないと信じてください」とあいさつを申し上げた。「日の丸」飛行隊が飛んだ70年ほど前の日本、「国と国民」はどうだったのか、友人に聞きたい。

●平成23年広報おおえ 6月号より

 今年の夏の暑さはどうなるのか。真っ黒い皮の冷えた西瓜の味は、なぜか忘れていない。友人がくれた西瓜の苗、そんなにたくさん手入れをしたわけではなかったが、濃厚な甘い西瓜となった。食べた後、茶色がかった小さな種は、「来年の春、まいてみたら」と確かに言った。「言った」「言わない」で西瓜に八つ当たりしたって何にもならない。実行あるのみだ。種を紙タオルに乗せ、乾かし保存した。種まきの季節には遅くなったが、西瓜との約束をぜひ守りたい。発泡スチロールの箱にポットを並べ、1週間ほど前、種をまいて、透明のナイロン袋で「トンネル」をした。10日ほどたって、二葉の緑の西瓜の赤ちゃんが、にょっきりと立っている。新しい「生き物」が、土と水と空気と滋養分で生まれてきた。2粒、3粒、4粒とまいた種は全員見事な誕生だ。丈夫そうな1本を残して、間引きする…?去年の西瓜の、大きさ2倍、甘さ3倍に育ってほしい、「まいた種は確かに生える」。「学ぶべきは天然である」とは、至言である。

●平成23年広報おおえ 5月号より

 「戦うつもりがないなら、仲間になったほうが良い」「動かすことができない大きな石は、側を通って裏側にいけばよい」、どこで見聞きしたかは忘れたが、外国のことわざだったような気がする。文字通り「全身の震えが止まらない」ような激甚災害の東日本大震災であった。町でも、上下水道が停電で大きなダメージを受けた。上水道の貯水槽は底が壊れ、空っぽになった。下水道のポンプも電気がなくては動かず、くみ取り車と発電機の出番となった。担当者の二晩夜通しの作業もさることながら、ご協力いただいた業者の方々の懸命な復旧作業に頭を下げたい。地球と戦うのか、友達になるのか。「原発」を動かさずに裏側に上手に回れるか…。原発事故の収束は国民全員の希望だ。内に向かって、大声で叫びたい。「電気は半分、ご飯はもりもり」、体力をつけて、元気を出して、余った電気はモーターへ。あー、また地震か。下げたランプが揺れている。「友達だもの、地球さん、もう勘弁してよ」。

 


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